食事提供の継続を支えた、完全調理済み食品を活用した病院食運営のハイブリッド化
トヨタ自動車株式会社
トヨタ記念病院
愛知県
527床
栄養科
技士長  福元 聡史 様

以前はどのような給食状況だったか教えてください。

当院は527床を有する地域の中核病院であり、9名の管理栄養士が在籍しています。給食業務は全面委託しており、メディカデリ様を導入する以前は、院内調理における構成はクックチルが7~8割、クックサーブが2~3割でした。

急性期病院の特性上、食種は多岐にわたり、365日、朝昼晩と休むことなく安全に食事を提供するためには、多くの人手が必要な状況でした。

導入のきっかけについて教えてください。

最大の理由は、委託会社様から撤退の申入れがあり、短期間で新たな委託会社様を選定し、切り替えを実現する必要に迫られたからです。

このような状況の中で最優先としたのは、食事提供を途切れさせないことです。そのため、「完全調理済み食品(完調品)」の導入という選択に至りました。

限られた準備期間と新たな委託会社様の状況を踏まえた判断でした。急性期病院として、食事提供ができないことを理由に入院制限を行うことは、地域医療を守る観点からも絶対に避けなければなりませんでした。

導入を検討する上でどのようなポイントでご選定いただいたのでしょうか。

複数の選択肢を比較検討した中で、メディカデリ様の商品は、味や品質のばらつきが少なく、当院の運用に適していると感じました。

中でも特筆すべきは、ペースト食やムース食などの嚥下調整食です。熟練の調理師であっても、これらを毎日同じ品質で提供し続けることは容易ではありません。しかし、メディカデリ様の商品は離水が少なく、硬さやまとまりが均一で、安定性を備えていました。

さらに、「導入サポート」の充実も大きな決め手でした。単なる商品供給にとどまらず、完調品とクックチルの併用方法や厨房機器の運用など、現場に寄り添った具体的なアドバイスをいただけました。病院給食の実情を理解した経験豊富なスタッフが揃っている点も、大きな強みであると感じました。

導入までの準備の間、何か工夫されたことなどありますか。

準備期間が極めて短く、完調品を導入できなければ食事提供自体が危ぶまれる状況でした。

迅速に導入するためにまず実施したのは、病院長をはじめとする経営陣への試食です。経営側が重視したのは、「確実に食事提供が継続できること」と「おいしい食事であること」の2点でした。これを早期にクリアできたことで院内調整は円滑に進みました。

また、給食業務を全面委託している中、今回は食材購入を病院側で行うという例外的な対応が必要となりましたが、事務部門の協力により短期間で契約締結が実現しました。

メディカデリ様の全面的なサポートにより、食事提供が継続でき、入院に制限をかけることなく診療を継続できたと感じています。

実際に導入されてみてからはいかがですか。

導入後は、完調品5割、クックチル3割、クックサーブ2割という構成に見直しました。

完調品を活用した病院食の支援・サポートの導入により、現場の業務負担は大幅に軽減されました。以前は野菜の切り込みからすべて院内で行っていたため、多くの経験者が必要でしたが、調理工程が大幅に簡素化され、厨房内の作業環境が大きく改善しました。

その結果、新たな委託会社様への移行後は、現場運営の安定化につながっていると感じています。

また、食種展開の簡素化により、配膳ミスなどのインシデントも大幅に減少しました。

加えて、加熱調理や急速冷却の工程が減ったことで、電気代などの光熱費削減にもつながりました。

急な食数増加への対応力も向上しました。以前は厨房が混乱する場面もありましたが、完調品であればストックを温めて提供できるため、速やかに対応可能です。

従来の院内調理では提供が難しかった「いわしの姿煮」のような料理も、完調品であれば形が崩れることなく盛り付けられるようになりました。

今後、病院給食でやっていきたいことなどはありますか。

病院給食を取り巻く環境は厳しさを増しており、人材不足に加え、人件費や食材費の高騰、それに伴う委託費の上昇が経営に影響を及ぼしています。このような状況の中で、食事提供を持続可能なものとするためには、病院給食におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠だと考えています。例えば、ロボットによる配膳・下膳や自動洗浄などの省力化技術は、今後高い需要が見込まれます。また、AIを活用し、栄養価・嗜好・地域の食文化に配慮した献立作成や、食品ロス削減につながる発注システムの開発にも期待しています。

現在当院がおこなっている「院内調理×完調品」のハイブリッドな病院食運営も打開策になると思います。

当院は平均在院日数が約10日と短く、患者さまは早期に次の病院や高齢者施設、あるいは在宅へ移行されます。そのため、当院単独で食事の質を高めるだけでは不十分です。今後は行政や医師会とも連携し、病院給食の継続を地域課題として共有していくことが重要だと考えています。

入院患者さまがいる以上、食事提供を止めることはできません。そのため、「時代の潮流に合わせた持続可能な病院給食の在り方」を今後も考え続けていきたいと思います。